若返りだけじゃない「健康寿命」
「アンチエイジング」と聞くと、何を思い浮かべますか?
見た目を年齢よりも若々しく保つことや、肌のシミ・シワ・たるみ対策、エイジングケア化粧品などを思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろんそれらもとても大切です。ですが、アンチエイジングの本当の目的は、「若返ること」ではなく、「心も体も元気な時間を長く保つこと」なのです。
それが「健康寿命を延ばす」という考え方。今回はアンチエイジングの本当の意味と、今から始められる習慣をご紹介します。
アンチエイジング=若返りではない?
「アンチエイジング」(anti-aging)とは「抗加齢」、「老化に逆らう」を意味する言葉です。実際の年齢を止めたり、若いころの自分に戻ったりすることはできませんが、いつまでも若々しくいたい、年齢よりも若くみられたい、長生きしたいと思う人は多いでしょう。
本当のアンチエイジングとは、健康で、年齢を重ねても自分らしく、いきいきと過ごせる時間を長くすることです。
たとえば、
- 朝、すっきり目が覚める
- 疲れにくく、軽やかに動ける
- 好きなことを楽しめる
- 人と会って笑える
- しっかり食べて、よく眠れる
心身ともに健康で、自分らしく生きられる時間をできるだけ長くしていく。
それが、アンチエイジングの本当の意味なのです。
美しさは、健康から生まれる
40代を過ぎると、だんだんと疲れやすくなったり、体や見た目の変化に敏感になる方も多いのではないでしょうか?
でも、本当の美しさは「内側」からにじみ出てきます。
肌のハリ、髪のツヤ、姿勢の美しさ、笑顔の輝き。これらは、健康という土台があってこそ、内側からあふれ出て、外側にあらわれてくるものです。
外側から見た目だけを整えても、体や心が疲れていたら、その美しさは長続きしません。
だからこそ、内側と外側 両方のケアが大切なのです。
健康寿命とは?
最近よく聞くようになった「健康寿命」という言葉。
これは、「健康上の問題によって日常生活が制限されることなく、生活できる期間」で、病気や介護に頼らず、自立して過ごせる期間のことです。
平均寿命と健康寿命との差は約10年とされています。
たとえば、令和4年の平均寿命と健康寿命は以下の通りです。
平均寿命 | 健康寿命 | 平均寿命と健康寿命の差 | |
日本人男性 | 81.05歳 | 72.57歳 | 8.49年 |
日本人女性 | 87.09歳 | 75.45歳 | 11.63歳 |
平均寿命と健康寿命の差の約10年間は、何らかの支援や介護を必要としながら過ごしている人が多いということです。
平均寿命だけ延びても、病気になったり介護が必要になれば、日常生活が制限されてしまいます。
健康寿命が延びると、充実して生き生きとした生活を長く送れます。
この10年の差を縮めて、元気に動ける時間をできるだけ長くすること。
それが、これからのアンチエイジングの目的です。
今から始めるアンチエイジング習慣
平均寿命と健康寿命の差をなるべく短くするために、どんなことをしたらよいのでしょうか?今日からできる、やさしい習慣を5つご紹介します。
1.食事で「体の中」からきれいに
バランスのよい食事は、体も肌も元気にしてくれます。
多すぎず、少なすぎず、偏りすぎずバランスのよい食事を心がけましょう。
添加物や塩分を多く含む加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)や赤肉(牛肉や豚肉など)や甘味飲料の過剰摂取は控えましょう。
体のサビを防ぐ「抗酸化作用」のある食品(ビタミンC、E、ポリフェノール、カロテノイドを含む食品)を摂るのがおすすめです。
主なものとしては緑黄色野菜、果物、ナッツ類、緑茶などがあります。
食品の例 | |
緑黄色野菜 | ほうれん草、パプリカ、にんじん、小松菜、ブロッコリー、かぼちゃ、トマトなど |
果物 | ブルーベリー、いちご、キウイフルーツ、オレンジ、ぶどうなど |
ナッツ類 | アーモンド、くるみ、カシューナッツなど |
2.良い眠りで体を整える
睡眠は、心身の疲労回復やバランスを整えるのに欠かせません。良い睡眠がとれていないと、疲れがとれず心身に様々な影響を及ぼします。
毎日同じ時間に寝起きすることで、体内リズムを整えましょう。
朝起きたら、まずカーテンを開けて、日光を浴びる習慣を身につけましょう。
夜はスマホを寝る2時間前には置いて、ぐっすり眠れる準備をしてみてください。
快適な睡眠環境を作ることも大切です。寝室の温度や湿度、音、光なども工夫していきましょう。
また、睡眠時にアロマを取り入れるのも効果的です。
リラックスする香りをかぐことで、副交感神経が優位になり、ぐっすり眠りやすくなります。
ラベンダーやカモミール、オレンジスウィート、ベルガモットなどの香りがおすすめです。
アロマディフューザーやアロマスプレーなどを用いて、快適な睡眠を楽しんでみてください。
3.軽い運動を続ける
ストレッチ、ウォーキング、散歩、軽い筋トレなどがおすすめです。軽く体を動かすことで、血流がよくなり代謝が上がります。
毎日スポーツジムへ行って、長時間のトレーニングをするなどと負担に思わなくても大丈夫です。1日10分でも体を動かしてみましょう。続けることで、体力や筋力の維持につながります。
無理のない範囲で、日常生活に軽い運動を取り入れましょう。
4.自分をいたわる「ひとり時間をつくる」
毎日忙しい中でも、自分だけの時間を持つことは大切です。お茶をゆっくり飲む、深呼吸や瞑想をする、マッサージをするなど、1日の中でほんの少しでも自分をいたわる時間を作ってみましょう。
心身の疲れをとり、ストレスを和らげて、老化の進行を遅らせる可能性が高まります。
自分をいたわる ひとり時間に何をしますか?
自分の心が落ち着く時間を意識的に作りましょう。
5.好きなことに夢中になる
読書、映画、手芸、音楽、ガーデニングなど、好きなことに夢中になる時間を作りましょう。自分が心地よく、楽しいと思える時間はかけがえのないものです。
夢中になることで、気持ちが前向きになり、充実感を得られ生きがいにもつながります。
また同じ趣味をもつ気の合う人たちとのおしゃべりや、誰かの役に立つ活動も、心の安定や若さを保ちます。
悩みや不安を感じた時に、相談できる人に話を聞いてもらえたり、自分に何か異常があった時に気づいてもらえたりするのも、安心につながります。
自分のペースで、今を心地よく生きるために
年齢を重ねることは、時に戸惑いを感じるものです。
若いころには感じていなかった体の変化や衰え、気持ちの揺れなどは、焦りや不安、自信を失う瞬間もあるかもしれません。
でも、それは決して悪いことではありません。
疲れてるな。気分が晴れないな。つい落ち込んでしまったり、何もやる気が起きなくなったりする日もあるでしょう。そんな風に思う日があっても、自然なことです。
自分の心や体に向き合って、受け入れ、そっと寄りそう。
アンチエイジングは、より心地よく、より充実して生きる工夫とも言えるでしょう。
焦らず、比べず、自分のペースでできることから少しずつ。
気持ちがふわっと軽くなるような毎日が送れ、心も体も元気な時間を長く保つことを目指しましょう。
これがアンチエイジングのあり方かもしれません。
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